コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】4〜基本戦略をどう構築するか〜 - まるごと|問題発見力|トレーニング|コールセンターを学ぶ
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コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】4〜基本戦略をどう構築するか〜

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基コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】4〜基本戦略をどう構築するか〜

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コールセンターの立ち上げ3〜ミッションの必要性を理解する〜

コールセンターのタイプを検討する際に、インバウンドセンターとアウトバウンドセンター、あるいは大規模いや小規模と言う区分が、極めて当然のごとく用いられる。
しかしコールセンターの戦略や、マネジメントを考える上で、このような区分は果たして意味を持つのだろうか?
従来型の分類にはかけている視点があり、それが本質的なコールセンターを考える上での制約になっている場合もある。
ここではコールセンターの類型化において、これまで常識とされてきた切り口への疑問を再検討し、企業戦略を実現する手段としての、コールセンター像を描くための切り口を提案する。その上で、コールセンターの構想を立案するためのアプローチを提示したい。

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コールセンターの分類を再考する

企業経営の観点から、コールセンターをタイプ分けする場合、その切り口をどのように考えるべきだろうか。
センターの規模や、インバウンドアウトバウンドといったコールの種類ももちろん考慮すべきだろう。
だがそれだけではなくコールセンターがサービスを提供する範囲にも着目する必要がある。
コールセンターのサービス範囲は、対顧客と対社内の2つの側面から設定する必要がある。

まず対顧客の側面から考えてみよう。

よりどころとなるのは顧客のライフサイクルである。企業にとって顧客の位置づけは、「獲得し囲い込む」段階から始まり、「定着させる」すなわちロイヤルカスタマー化していく段階、そして強固な顧客との信頼関係を収益に結びつける(収穫)段階へと推移する。それぞれの段階に応じてコールセンターが提供するサービスは大きく異なってくる。
次に対社内の側面から考えると、例えば顧客の声に代表されるような、センター内に蓄積される情報を、
社内にしっかりと発信することが、まず最低限のサービス範囲として求められるだろう。
より範囲を拡大すると、商品の品質上の問題等について、顧客接点を担う立場から提案することが含まれてくる。
さらに顧客満足度の向上のために、関係する部門を取りまとめて、様々な施策の実行をリードするような重責を果たすことも考えられるだろう。
こうした切り口をもとに、コールセンターを分類すると、センターが提供すべきサービスや、備えるべきスキルの概要が見えてくる。単に大規模インバウンドセンターといった分類だけでは、センターの外見は想像できても、現実にどのようなサービス機能を備え、どんな能力を獲得すべきなのか、と言う本質的な特徴が見えてこない。
一方顧客の観点からは、(囲い込み)に責任を持ち、社内の観点からは(顧客囲い込みのための施策提案)を発信するセンターであることが明確であれば、この分類を出発点に、サービス機能を具体化し必要な人材の条件を定義していくことが可能になるだろう。さらにはコールセンターの評価軸の明確化にもつながるはずだ。
ではコールセンター分類の方法についてより具体的に見ていこう。

顧客ライフルサイクルに基づくサービス範囲を定義する

顧客のライフサイクルを切り口としてコールセンターを3つのタイプに分類してみよう。
1つ目は顧客の囲い込みを行うタイプのセンターである。
このタイプのコールセンターでは、顧客にとって価値の高い情報を、タイムリーに提供する機能が重要となる。
そして、時期を得た情報提供のために、顧客の状況をきめ細かくつかむ機能が必要となる。
つまり顧客の状況把握と情報提供機能をうまく組み合わせることが成功条件となるのだ。
例えば、ある流通事業のコールセンターでは、顧客ニーズを徹底的にデータベース化し、顧客に応じた内容とタイミングで、商品情報の提供を実現している。しかし決して売り込みはしない。コールセンターの目標は、あくまでロイヤルカスタマーを育成することであり、売り上げを伸ばすことではないことがはっきりと決められている。
こうした囲い込みに特化したコールセンターの設置は、短期的な売り上げ増にはつながらないものの、コールセンターを通じて、同社から購入するようになった顧客は、中長期的には高い売り上げ貢献をする傾向が明らかになっている。
2つ目は、顧客の定着化を担うタイプのセンターで、問い合わせに対する質の高い対応機能に加えて、
フォローアップ機能も重要になってくる。
ある通販事業のコールセンターでは、顧客の稼働状況を常に把握し購入が途切れたり購入量が大きく減少した顧客に対し、即時にフォローコールを入れている。顧客を確実に定着させるためには、現在サービスを利用している顧客の満足度を追求するだけではなく、未稼働休眠停滞に落ち陥りかけた顧客を徹底的にフォローする機能が求められるのである。フォローの効果は実施のタイミングに大きく左右されるため対象顧客をタイムリーに見いだす仕組みを構築することも重要だ。
3つ目の収穫段階を担うコールセンターの典型はセールス型のアウトバウンドセンターであろう。
しかし一方的なセールスアウトバウンドをかけるセンターとは1線を画する。
収穫型のセンターに求められるのは、顧客リストをもとに闇雲にセールスをかけることではなく、
蓄積されたデータをもとに、収穫期に入った顧客を高い精度で選別する機能だ。
ある製造企業のセールスセンターは、営業部隊と綿密に連携しながら高精度の顧客データベースを構築している。
データベースにはコミュニケーターの日々の顧客対応を通じて、詳細で臨場感のある応対履歴データが蓄積される。
そこには、例えば顧客企業の決済者や、予算策定のスケジュール等、営業上貴重な情報が含まれている。セールスマネージャーは、常にこの履歴データを熟読しながら攻め時を判断している。しかも、セールスをかけると役割はそれまでの経緯や、売り上げ見込み等に応じて、コールセンターと営業部隊とのあいだで、柔軟に分担する。応対履歴を根気よく蓄積し、丁寧にレビューしながら攻める顧客を選別する。その上で、タイミングを見計らって、最適なチャンネルで収穫する。コールセンターはこうした収穫プロセスの要となる存在である。

明確な分類定義の重要性

顧客のライフサイクルによるコールセンターの分類と特徴は、以上の通りだが、必ずしも1つのセンターが1つのタイプに分類されるとは限らない。
複数の性格を併せ持ったコールセンターは当然存在するが、重要な点はそれが明確に定義されていると言うことだ。
実際にははっきりとした定義がないまま、成り行きで様々な役割を兼ねてしまっているセンターも少なくない。このような事態は、本来必要なスキルを持つ人材が不足して、サービスレベルが低下したり、業務の目的や評価基準が不明瞭となり、スタッフのモチベーションを低下させるなどの問題を招く。
入電の谷間に形だけ実施されているフォローコールが、実際にはほとんど成果を売っていなかった例等は、こうした問題に起因するものだ。
顧客の定着に責任を持つセンターであれば、単にフォローを入れるだけでなく、フォローすべき顧客の特定から、
成果の評価も含め、顧客を維持するためのプランで、業務の実行を徹底しなければならない。
センターの分類を明確に定義する事は、中途半端に陥ることなく、本来実施すべきオペレーションを、徹底的に追求する上でも重要である

企業内におけるサービス範囲を定義する

次にコールセンターが社内に提供するサービスの範囲をもとにコールセンタータイプの特徴を見ていこう。
まず、社内への情報発信を行うタイプのコールセンターには、顧客の声などの情報を、正確に記録し蓄積する機能が必要である。
一般的には、蓄積後の分析方法に注目が集まりがちだが、事後の分析機能いくら高度化しても、元データの精度が低くては、話にならない。
顧客対応時点の記録精度を向上させるには、コミニケーションの履歴登録スキル向上のためのトレーニングや、入力システム環境の整備など、複合的な施策が求められる。また社内に価値ある情報発信するためには、発信すべき情報を選別する機能も不可欠である。
より事業への貢献を追求する企画提案型センターはどうだろうか。このタイプでは、
提案機能より先に、情報を的確に分析する機能がまず求められる。
最近データマイニングやテキストマイニングなど大量のデータから、顧客のニーズのシナリオを読み取るツールが注目されている。
もちろんこうしたツールも有効だが、ツールに基づく高度な分析機能を備える前に、取り組むべき基本的な課題がある。
それは、目的に合った顧客の声を引き出す能力の獲得である。受け身の姿勢で対応するだけでは顧客はニーズや意見を出さないものだ。
適切な適切な質問を適切なタイミングで投げて投げかけることによってニーズを引き出す必要がある。これにはかなり高い技術が求められるため人材のスキルやトレーニングプログラムが成功の条件となる。最後に顧客対応を行いながら、社内での施策実行推進役を担うセンターには、3つのタイプの中で最も大きな権限と責任が課される。
企画提案のみならず、関係する部署をリードして、結果を出すことが求められるからだ。
ある食品会社では、コールセンターにリスクマネジメントの機能を持たせることで、大きな成果を上げているこのセンターは、顧客対応を通じて、
リスクが大きいと判断した問題に関して、関連する部門の責任者を招集する権限を持つ。
一方で、リスクが確実に解消するまで、責任を持って関連部門をリードする役割も求められている。
問題提起だけでは、責任を全うしたとはみなされないのだ。
以上3タイプの特徴を概観した。企業内に提供するサービス範囲の切り口で、コールセンターを類型化することにより、
センターの権限責任配分投資対効果教育や、組織等に関する設計の方向性を、明らかにすることができる。

ソーシングパターンを決定する

ここまで、コールセンタータイプの分類について述べ述べてきたが、企業戦略実現手段としてのコールセンターのマネジメントを考える上で、もう一つ大事な切り口がある。それはソーシングのパターンである。
言うまでもなくコールセンターの最も重要なリソースは人材(コミュニケーター、スーパーバイザー、トレーナーなど)である。
人材リソースの調達方法についての判断は、運営コストやサービスの質センターの成長など、様々な部分に大きく影響する。
ソーシング方針については自社運営か、アウトソーシングかと言う二者択一の判断がなされることが多い。
しかし、今後ますます複雑な機能を担うコールセンターのリソース調達を、そのような画一的な観点だけで判断してしまうと、失敗する可能性が高い。
自社運営とアウトソーシングの中間的な経営形態であるコソーシングも含めて、判断の選択肢をより広く設定する必要がある。
コソーシングとは企業とアウトソーサーの共同運営形態を意味する。両者のスキルをうまく組み合わせて、センター全体の能力の最大化をに狙う手法だ。
具体的には次の3つのサブカテゴリーに分類される。
1 )マネジメントのみを委託するタイプ
2 )オペレーションのみを委託するタイプ
3 )一部の業務領域についてマネジメントとオペレーションを合わせて委託するタイプへ

以上のタイプを目的に応じて使い分けることになるがよく用いられるのは2のオペレーションのみを委託するタイプだろう。
①マネジメントは自社のコントロール下におきつつ、コミュニケーターのリソースや、採用のノウハウを外部に求めることで、人件費の変動光や採用負荷の軽減を実現できるメリットがある一方で、(マネジメントとコミュニケーター間の信頼関係が、充分構築できない)(コミュニケータを派遣する企業側の採用力の限界により
求めるスキルやマインドを持った人材が集まらない)といった問題も生じやすい。
所属企業の枠を超えた信頼関係や、コミットメントを、いかに築けるかがこのタイプのソーシングの成功条件であると言うことに注意が必要である。
1)のマネジメントのみを委託するタイプの実例は比較的少ないと思われる。
専門家に任せれば、一般的なコールセンターマネジメントの面では、質の向上が期待できるが、顧客サービスに対する自社の理念や思いを、
十分に反映したマネジメントの実現は逆に難しくなると言うリスクも存在するからだろう。
コールセンターのサービス品質や、生産性の改革を実施する際に有効なのが、3)の業務領域を限定して一括委託するタイプである。
外部の専門ノウハウを活用しつつ、自社のイニシアチブのもとで、改革を進められると言うメリットがあるからだ。
特に、規模の大きなコールセンターの場合、センター全体の改革を一挙に進めてしまうと、思わぬトラブルを招きかねないため、
一部のチームで、改革施策をパイロット的に施行する方法をとることも多い。そのパイロットチームの役割を、アウトソーサーが担うのである。
アウトソーサーは、改革施策を提案しながら、実際に自らが担当するチームで施行し、リスクや効果を検証する。
その上で一定の検証や、軌道修正がなされた施策を、センター全体に展開するのだ。
このタイプのソーシングでは、改革リスクの低減や、効果の向上のみならず、常に新たな施策や、
目標に取り組む外部チームの存在そのものが、センター全体に活気をもたらす。
ただし改革施策の日産スキルや、実践力を持ったアウトソーサーを選定することが、成功のカギである事は言うまでもない。
ここまでソーシングのタイプと、特性について述べてきたが、ソーシング戦略を検討する際は、その目的と期待効果について、
深く考察し、自社か完全アウトソースかといった二者択一の施行に陥らずに、多様な選択肢を視野に入れて判断しなければならない。

ソーシング戦略とは?

ソーシングは、耳慣れない言葉かもしれない。簡単に言えば、人材や技術ノーハウなどの、ビジネスを運営する上での必要な資源を、どのような手段で調達するかと言う形テーマである。資源を基本的に自社内で賄う方法が、インソーシングであり外部からの調達方法が、アウトソーシングと言う分類になる。
またここでは、両者の中間的な形態として、コソーシングと言う選択肢を示した。
重要な点は、いずれの方法で資源を調達しても、その成果に対する責任は、あくまで自社にあると言うことだ。
特にアウトソーシングした場合、ややもすると全てを委託先企業に任せきってしまい、品質や生産性が把握できず、ブラックボックス化してしまう、と言う事態も生じるが、外部に依存する範囲が増えるほど、管理を強化すべきすべきである、と言う事は言うまでもない。
例えば発注者と受注者間で、SNAサービスレベルアグリーメントを締結し、
サービスの品質や生産性について、合意を取り交わす事は有効な手段である。
いずれにせよ、委託先のサービス品質を、正確に評価しコントロールできる仕組みを、前もってして設定しておくことが求められる。
またソーシングの形態を取る場合は、発注者と受注者が共同出資して、ジョイントベンチャーを設立し経営リスクを共有するやり方もあり得る。
もちろんジョイントベンチャーの設立には、様々な課題もあるが、両者が本気になって、
成果を追求する真のコソーシングを実現するために、もっと積極的に取り組まれて良い方法だと思う。

基本戦略を構築する

コールセンターの戦略と聞くと、複雑で難解なテーマだと思うかもしれない。
だが単純化すればこれまで述べてきた内容こそコールセンターの戦略の骨格になるのである。すなわち次の4つが戦略の骨格を形成する。
1)顧客接点全体に対するニーズ
2)コールセンターのミッション
3)コールセンターのタイプ
4)ソーシング方針

まず、企業全体の顧客接点を定義し、顧客顧客接点全体に対するニーズを明らかにする。
その上で各関係部門との連携方針を整理しながら、顧客接点全体のニーズ充足度を最大化する方向で、コールセンターの基本的なミッションを設定する。このミッションを、対顧客及び対社内の切り口から、コールセンタータイプとして具体化するのである。
このような検討プロセスを経ることによって、おのずとコールセンターがどのような形で貢献をするのかが明確になってくる。
次に企業におけるセンターの位置づけや、経営貢献の方針を踏まえて、
人材リソースの調達方法を検討し、どのようなソーシングタイプを選択するかを決定する。
以上の4要素の方針を決定することによって、コールセンターの評価基準や、サービス機能、人材要件、コスト構造といった、様々な意思決定事項の方向性が明らかになってくる。コールセンターの戦略構築プロセスは、経営貢献度の高いコールセンターを構築する上で重要だが、漠然としていて実践が難しい領域でもある。
結果的に現実の設立プロジェクトでは、省略されされてしまうことも多く、そのことがセンター開設後に様々な弊害を生んでいる。

 

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