コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】5〜どのようなプロセスで開設するか〜 - まるごと|問題発見力|トレーニング|コールセンターを学ぶ
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コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】5〜どのようなプロセスで開設するか〜

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〜どのようなプロセスで開設するか〜

前回  コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】4〜基本戦略をどう構築するか〜

コールセンターの設計プロセスを、「概念設計」「機能設計」「詳細設計」の3段階に分けて説明する。
全体的な流れを言うと、概念設計と機能設計の段階で、まずコールセンターの役割や位置づけ、機能など外から見たセンター像を明らかにし、その上で詳細設計において、業務組織システム等のセンター内部を具体化していくことになる。
それぞれの工程で、決めるべき事項について十分に議論し、タイムリーに判断していくことが、経営貢献度の高いコールセンターを実現するために重要である。

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顧客接点から絞り込む

逆説的な言い方になるが、経営貢献度の高いコールセンターを作ろうとするなら、コールセンターの設計からスタートしないアプローチが求められる。
多くの場合、いきなりコールセンターの機能や業務をどうするか、と言う個別具体的な検討に着手しがちだが、それでは企業経営から見て部分最適なセンターができてしまう危険性があるのだ。
では何から検討を始めれば良いのか。顧客接点の見極めと、トータル顧客接点へのニーズ分析からスタートするアプローチを提案したい。
これにより、企業と顧客との関係全体の中でコールセンターの役割や位置づけを明確化できるのである。
コールセンターの設計工程は「概念設計」「機能設計」「詳細設計」の3つに分類できる。まず概念設計の目的はコールセンターの具体的な内容ではなく顧客接点におけるポジションを明確化することにある。
次に機能設計の段階に入ると設計範囲をコールセンターに絞り込んでいく。ただしこの段階ではセンター内部よりも、顧客や社内関係関連部門協業会社といった各カウンターパートナーとの対外的な関係や、連携を中心に設計を行うことがポイントとなる。つまり「概念設計」「機能設計」を通じて、外から見たセンター像を明確にしていくのである。これによって、外部からのニーズに応えるためのコールセンターの要件を、明らかにすることができる。
詳細設計段階に入って、初めてセンター内部の具体的な検討に着手する。業務組織(人事や人材開発を含む) ITの各領域の要件を具体化していくのである。それぞれの設計を、緻密に行う事はもちろん大事だが、より心がけるべきは、縦と横の一貫性である。縦の一貫性とは上流工程の機能設計と整合取ることを意味する。横の一貫性とは業務組織ITといった、各領域間の整合をとることである。例えば、今洗い出しているシステムの機能は、現場の業務が必要としている要件を満たしているか、あるいはセンター内のチーム編成は、別途設計している、オペレーションフローにマッチしているかなど、領域間の整合に充分留意しなければならない。
このように、まず顧客接点全体を分析して、コールセンターのポジションを明確化し、その上で外部設計を行い、内部設計と進む企画設計アプローチが全体最適なコールセンターの実現を可能にする。

段階の意思決定を確実に実施する

企画設計プロセス全体を通じて意識すべきは、最初の構想を立てたら、後は設立まで一気に進めれば良いと言うわけではないことだ。基本的には、重要な意思決定のポイントが2カ所存在する。最初は概念設計終了後に、それ以降の具体的な設計に進むか否かを判断するポイントだ。本来、この時点でコールセンターの基本的な役割及び、顧客接点全体におけるポジションが明確になっている必要がある。
意思決定者はそうした情報に基づいて、これから本格的な設計をしようとするコールセンターに、その価値があるかどうかを見極めるのである。あるいは、基本的なセンターの役割や位置づけに、経営的な視点から見て疑問が生じた場合は、充分論議を尽くした上で、軌道修正を図ることも必要になるだろう。ところが実際には、この判断ポイントは省略されてしまうケースが少なくない。その結果、センターの稼働後に、経営層や他部署から、期待した成果を上げていないと言う評価を受けたり、場合によっては投資判断を誤らすことにもつながる。つまり概念設計がしっかり行われないと、コールセンターの経営貢献に関する基本的なレベルでの判断が不十分になってしまうのである。
次の重要な意思決定は、昨日設計終了後に投資判断をするポイントである。実際のケースでも、さすがに投資判断を省略する事は考えられないが、問題はその内容である。コールセンターの機能がはっきりしない状態で、なんとなく他社の事例などをもとに、予想席数やシステム投資予測等が立案され、安易に意思決定されてしまう例が意外と多いのだ。
センターがどのような機能を担うかによって、当然コストにも違いが出てくる。やや極端ではあるが、当初オーソドックスなインバウンドの問い合わせセンターを作るつもりだったが、役割や機能を設計する過程で、情報発信機能の重要性が認識され、アウトバウンドオペレーションを追加した例もある。これによりセンターの席数規模はもちろん、システム機能の要件も拡大し投資はかなり膨らむこととなった。
しかしこのケースでは、比較的早い段階でその投資対効果を検証できたため、マネジメントも含めてコールセンターの役割機能に関する討議が十分になされ、投資項目の優先順位を整理した上で、納得のいく投資判断ができたのである。
こうしたプロセスを経ずに、投資判断を行うと安易にコストを拡大したり、逆に曖昧な根拠で予算枠がはめられてしまう。本来必要とされる投資が削られるといった事態を招くことにもつながる。概念設計完了後に、コールセンター設立の基本的な目的と価値、そして機能設計終了後に投資対効果をできるだけ正確に判断する必要がある。それを可能にするには、それぞれの設計工程が入念に実施されなければならない。
実際には、設計の上流工程は漠然として、とらえどころがないとの誤解から軽視されがちだ。しかし、上流工程をおろそかにする事は、センターの役割や機能を曖昧にするだけではなく、投資判断のような重要な意思決定の精度低下させる危険があるとの認識に立ち、十分な時間をかけることが求められる。

コールセンター開設プロセスを概観する

ここまで述べてきたコールセンター設計の考え方を踏まえてセンター開設までのプロセスを順に概観してみよう。

コールセンター設立の必要性を認識

経営的な観点からコールセンター設立のニーズを分析する。

顧客対応の現状把握

現場の顧客からのコール状況やその対応応対の状況を把握し問題点を洗い出す(コールセンター設立の判断材料になる)。

顧客接点の定義

コールセンターのみならず自社全体を視野に入れて顧客との接点を網羅的に定義する。

顧客接点へのニーズ分析

自社の顧客接点全体に対して顧客が抱いているニーズを予想する。

コールセンターの役割位置づけ定義

顧客接点全体へのニーズの充足を目指して他部門との役割分担を整理しながらコールセンターの基本ミッションを定義する。さらに基本ミッションを顧客や社内に対する役割の観点から具体化する。

センター機能設計

コールセンターの役割をもとにより具体的に誰((どの組織)に対してどのようなサービスを提供提供するのかを定義する。

ソーシングプランの策定

各センター機能ごとに必要人材の調達方法を決定しソーシング計画として取りまとめる。

ROIの試算

これまでの設計内容をもとにコールセンター設立に必要なコストを計算し、合わせておおまかな効果を見積もる。

設立計画策定

コールセンター設立までの詳細なスケジュールを作成し必要体制を見積もる。

業務設計組織設計IT設計

オペレーション組織体制や人材要件センター運営に活用するITツールなど各領域ごとに詳細な設計を実施する。

開設準備

サービスインに向けて例えばスタッフへの研修やオペレーションのリハーサルなど各種準備を実施する。

設立プロジェクトマネジメント

センター開設に関する作業進捗や課題及びリスクを管理しスムーズなサービスにつなげる

各プロセスの作業内容についてはある程度イメージが持てるのではないだろうか。ただし各プロセスにはそれぞれ固有の思考方法やアプローチが存在するためそのそれらこれらを確実に抑えながら作業を行う必要がある。

 

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