コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】6ー基本設計ー
コールセンターを構築するにあたり、まずしなければならないことは、経営戦略を明確化することである。コールセンター導入ありきで進め、ハード・ソフトを決定しているようではコールセンターの運営はままならない。重要なのは、経営戦略に照らし合わせ、コールセンターをどのように位置づけるか、なんのために設立するのかを明確にしていく必要がある。また、オペレーターの効率を上げ、高い生産性を持つコールセンターにするための施策が必要である。
ポジショニングの明確化
どのように業務を実施するか、顧客に対していかに品質の良いサービスを提供するか、などのコールセンターの位置付けと目的を明確にする。コールセンターは、その導入にのみ意義があるのではなく、顧客接点づくりのための手段であることを、社内全体で共有することが必要である。
既存のコールセンターを改善する場合には、実地調査を通じてデータ収集を行い、オペレーションやシステムが本来の目的に合ったものであるか、また他の関連する事業部門やマーケティング部門などとのコミュニケーションや連携が取れているか、さらには収集された情報が、組織的に有効活用されているかなどを調査する。
マーケティング戦略
市場構造と規模、既存のチャンネル、自社の強み弱みなどを踏まえ、コールセンターを利用した新たなマーケティング戦略を策定していく。コールセンターをデータベースマーケティングの戦略基地とすることが重要である。
また、対象とする顧客を明確にし、セグメント毎にどのように顧客接点を結ぶか、どのように顧客を定着させるかといった、コールセンターのプラグラムづくりを進める。顧客にとって価値のある有益な情報はどの部署で生成されているか、その情報をどのように顧客へ提供するか、情報の提供に対する顧客の反応をどのように収集するか、その内容をどのように社内にフィードバックするかを決めていく。
リソースマネージメント
コールセンターの入電数予測・入電数目標を設定し、これをもとに必要な環境整備・システムの規模・回線数・オペレータ数などを決めていく。一般的に入電数は、時間・日・週・月ごとに大きく変動する。これに合わせて適切な業務計画を立案し、業務量の予測を立てていく。
リソースマネジメントで考慮すべきことは、顧客満足度とコストパフォーマンスのバランスである。営業時間や受電率・通話時間など様々なデータに目を向け、最適な配置をしなければ、顧客接点機会を逃すこととなる。
生産性向上計画
ランニングコストを抑えるためのイニシャルコストという考え方に立って、生産性を向上させるための業務標準化、システム投資計画を作成する。コールセンターは、構築までのイニシャルコストよりも、運営のランニングコストの方が遥かに大きく、人件費の占める割合は60%超にも及ぶ。人件費を抑えるためのシステム投資という考え方で、イニシャルコストを考えることが大切である。
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