コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】1 -まるごと|問題発見力|トレーニング|コールセンターを学ぶ 2021年9月25日
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コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】1

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コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】1

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初めに

今まで様々なコールセンターの立ち上げや運営に携わってきました。
コールセンターは、企業の理念によって、色が変わってきます。
まさに、企業を映し出す鏡のような存在です。
目標や理念が明確で、スタッフがお客様へのサービス向上を念頭において対応を行なっていることもあれば、センターが混乱しながらクレーム対応にも追われ、疲弊してしまっていることもあります。
なぜこんな違いが出るのか?どこに問題があるのか?
長年、考え行動し続けてきました。
コールセンターの質や、組織としての力を生み出している要因には、
コールセンターと言う部署のマネジメントだけではない要因があることを実感しました。
この要因とは、コールセンターが経営・集客・売上に直結する部署であることを認識したうえで、設計・構築ができているかということになります。
当たり前では?と思うかもしれませんが、設立当初から同じように考えられているでしょうか
当然のこととして、コールセンターの運営は、SVやオペレーターの能力に起因しますし、それをマネジメントする質の高さです。
しかし、それが全てではないと私は感じています。

製品・プロモーション・営業・コールセンターが共通意識を持って連携しながら、企業全体を最適化していく必要性を感じています。
それを行うことにより、コールセンターだけでなく、企業全体の効率を上げていくことにつながるでしょう。
その上で、コールセンターへも正しい評価を行うことで、「お客様からの感謝」「売り上げの達成」「目標達成」を実感し、熱意意欲を持って業務に取り組めます。そして、毎日の顧客対応や問題解決に頭を悩ませ、顧客に不満をぶつけられながら、疲弊し落ち込んだ気持ちも震え上がらせることができるのです。
つまりは、コールセンターを経営視点・営業視点から見据えた目標を設定し、評価していくことで、コールセンターは飛躍的に向上していくことでしょう。
本記事は、コールセンターの構想・立ち上げ・運営を綴っていきます。

コールセンター設立のリスクとリターン

コールセンターと企業評価

コールセンターは、金食い虫またはコストセンターだという言葉を聞くこともあります。経営者がそう考えるのであるならば、外注するのが一番です。安価でそこそこの対応を行えるセンターはたくさんあります。
しかし近年、自社でコールセンターを立ち上げる企業が増えています。

>その要因は

外注コールセンターへの不満

対応などの質に対する不満など費用対効果の悪化

初期投資費用

システム構築等で、数千万掛かっていた初期投資も、クラウドの発達と、CTIやCRMの連携によって、非常に安価にシステム構築ができるようになったこと。

コールセンター開設のリスク

コールセンターの価値やリスクを正しく認識せず、安易にを立ち上げると、大きな損失を受けることとなります。
しかし、そのリスクをどこまで理解しているのか、疑問になるケースを見かけることが多くなっています。

お客様窓口・カスタマーセンターなどのインバウンドコールセンターが安易に設置されることがあります。
問い合わせの電話を受けるだけだから簡単でしょう。と考えていたら大間違いです。
コールセンターを立ち上げ、電話番号を開示するということは、
お客様の声を聞き、顧客の不満を積極的に解消するという、姿勢を表すということです。
そこにお客様からの不満が発生すると、裏切りに等しい悪感情が芽生えます。
企業側にその意図がなくとも、コールセンターへの印象が会社の印象となり評価となります。

例えば、
ある商品を購入し、わからないことがあったため、お客様センターへ連絡した。

CASE1

自動音声にて、番号を選択し担当者へすぐに繋がった。
こちらの問い合わせ意図がわかっており、
商品についての説明を迅速丁寧に説明してもらった。

CASE2

電話をかけても繋がらない。
しばらくお待ちくださいと数分待たされた上で繋がった。
用件を聞かれ、担当部署にお繋ぎしますと言われ、さらに保留
担当者につながり、再度内容を話したところ、部署が違うと言われ
違う部署に再度回された。
そこでも再度同じ説明をし、お調べしますと言われ保留
その後、質問するたび保留となり、
最終的にも、満足の足りる解答とはならなかった。

ちょっと大げさでは?と思うかもしれませんが、
実際、CASE2の電話対応も多く存在します。
その顧客は、CASE2の企業への信頼が地に落ちたものになります。
また、その悪評を周囲やSNSに喧伝するでしょう。
CASE1の場合は、非常に満足な顧客体験となるでしょう。
全く同じ製品を購入使用しても、コールセンターの対応で評価は全く違ったものになる事例です。
協力
ネット・SNSが普及した昨今、クチコミは顧客の行動と意識に大きく影響を与えます。
一つの顧客接点、例えば店舗接客・営業マン・電話対応・メール対応など、一つが悪い印象を与えると大きなダメージを受けることとなります。
そして、顔の見えないコールセンターでの対応は、悪感情を増幅させかねないリスクが存在しています。

コールセンターを作っておこうなどと、安易な考えで設立することは避けるべきである。
構想と構造を入念に計画し、テストを繰り返した上で設立すべきである。
しっかりとリスクを認識し、センター設立計画を進めましょう。

顧客の声は届いているか

顧客アンケートやクレーム入電で、お客様の声を聴いている。
顧客満足につなげる改善を行っていると思っていませんか?
消費者志向経営優良事例表彰

お客様の声から改善を図る

顧客満足
「一生懸命お客様の声に対応しているのに顧客満足が上がらない」
という声をよく聞きます。
何が問題なのでしょうか?

1.「同じような声が絶えない 」

○声が届いていない
○その他のお客様の声を確認していない

2.「お客様の声に過剰に対応してしまう」

○その他のお客様の声を確認していない

問題点は2点

1.声が届いていない
お客様から頂いた声を漏らさず、会社全体または、専門部署に届け、記録できていない
※流れが社内ルール化されていない。

2.その他のお客様の声を確認していない
お客様の声の本質を理解できない。
※どこに問題があるのか、何が問題なのかを分析できていない。
すべてのお客様が不満を伝えてくれるわけではない。
企業に届くお客様の声は、お客様の一部の声であり、すべてのお客様の声ではない。
※情報収集方法と収集した情報の蓄積と分析が足らない。

コールセンターではどうか

コールセンターには、様々な顧客の声が寄せられる。
これまでの開設と同様に、その声に対して真摯に向き合っている企業は少ない。
当然、ほとんどの企業ではそのお客様の声を社内に共有しているだろう。
しかし、同様に分析し改善行動をして、情報を蓄積することまでは出来ていない。
silent majority

サイレント・マジョリティ

苦情・クレームを発信して頂けるお客様は、全体の1割程度と言われていた。
(現在は増えてきています。)多くの顧客、というより顧客のほぼすべてが
「サイレント・マジョリティ」物言わぬ多数派である。
黙って製品・サービスを購入し、満足が得れなければ離れていく。
このような認識をしっかりと持ち、一人一人の顧客の声から、潜在的なチャンスや
リスクを得るプロセスを、本来は企業経営の中核となるものである。
しかし、大半の企業がこのようなプロセスの構築をせず、表面的な声や評価で満足している。
本質的な顧客ニーズを得て、顧客との信頼関係を結ぶ機会を逃しているのだ。
顧客の声への真摯な対応を通して、サイレントマジョリティの動向を注視してこそ
本来のお客様志向がつかめるのである。
つまり、顧客との真摯で地道な対話の積み重ねが、市場競争力を大きく発展させることができるのだ。

市場へのアンテナ機能

コールセンターが担うべき重要な役割の一つが、顧客の声の収集と企業内連携
「市場へのアンテナ機能」なのだ。
この役割を十分に果たせているコールセンターは、まだまだ多くないが、少しずつ増えている。
コールセンターの能力不足もあるが、根本原因は、コールセンターの構想や構築、
設計上の問題に行きつく。
【例えば】
○しっかりお客様の声を拾い上げなさいと指導を行うが、人件費の予算がなくじっくりお話を伺うと
、多くの電話を放置する事となるが、電話も逃さず取るように指示が出る。
※計画性がなくオペレータの情熱も無くなっていく。
⇒詳細な計画を作成し、必要人数・人件費の確保を行う事で、企業側のやる気を従業員が感じる。

○お客様の声を収集するよう指示があり、センター全体で漏らさないよう収集を行った。
その後、どうなったか分からない。
※業務指示に従っただけとなり、今後同様の指示が出ても、熱意をもって対応しなくなる。
⇒収集した声がどのように使われ、どう改善につながったかを、全社に共有する事により、
携わったすべての社員のやる気を向上させる。

○お客様の声を収集するよう指示があり、センター全体で漏らさないよう収集を行った
それぞれが、メモに内容を書き上げたが、内容をまとめろと指示がでる。
※以上に手間がかかり、個人の能力差で対応に大きく違いが出る。
⇒共有用のシステムなどへ投資を行い、オペレーターの負担軽減を行うと同時に
会社が本気で取り組んでいる事を認識できる。
アンテナ

顧客の声と顧客満足

「一生懸命お客様の声に対応しているのに顧客満足が上がらない」
と思っている場合、一部のお客様の声をお客様の創意であると勘違いし、対応に追われている。
本質的なお客様の声を収集・蓄積・分析が出来ていないからである。

事例

お客様志向を掲げている「カルビー株式会社」を例に見てみよう
 真のお客様本位に向けて、お客様の声を企業活動に反映するため
「お客様からの問い合わせ(クレーム)は全件対応」をスローガンにあげ、
VOC(ボイスオブカスタマー)の取り組みを実践している。

全件対応とは

1.異物混入のクレームが続き企業存続の危機に直面した際、お客様の立場に立って考える事とした。
2.従来、吸い上げられていなかった、お客様の声を全部吸い上げたい。
3.吸い上げたお客様の声は漏らさない。

 従来の対応 全件対応
ご指摘
クレーム
現物あり お客様が送付 社員による現場改修
着払いによる引取り
現物なし対応しない 代替品を送付
ご意見
ご要望
 お客様 担当者に伝えますと返事 必要に応じて2次対応
 社内への提案一部についての提案のみ改善対象となる全件について提案を実施

情報の蓄積・伝達ルール

1.社内システムの活用により、プロセスの管理を行い情報を蓄積・伝達している。
2.お客様対応後、再購買意向の確認。
再対応を行い、情報を蓄積し、今後の対応に活かす。

蓄積・伝達された情報の分析に関するルール

1.社内システムの活用によりプロセス管理を行い情報を蓄積・伝達している。
2.寄せられたお客様の声が、本質的なものなのかを確認するためのリサーチを行う。
マーケティングリサーチ

マーケティングリサーチについては、こちら

コールセンターは武器

コールセンターは、企業及び顧客への武器になる
コールセンターの企業経営への貢献度をあげる為に不可欠な要素は、
コールセンターの構想と設計・計画を綿密に行う事である。
もともとコールセンターは、企業活動から切り離され、単独で顧客コミュニケーションを
行う部署として設計されていた。だからこそ、利益に貢献しないコストセンターなどと呼ばれた。
この考え方は、完全に転換されてきている。(一部老害は変わらない)
もちろん、日々の真摯な電話対応・対話を通じて顧客満足を高める事に変わりはないが、
経営者の立場から、投資に見合ったせいかを生み出すには、それだけでは充分と言えない状況になってきている。
これは見方を変えると、数年前と比較して、オペレーションやマネジメントの水準がシステム等の発達により
大きく向上し、多数のコールセンターにおいて、基本的な業務は十分なレベルに達した。
そのため、コールセンターへより高いレベルの要求を行うようになってきているのである。
だからと言って、通話品質の管理や、マネジメントの課題が存在しなくなったわけではない。
従来の課題・問題はまだまだ多く存在しており、そこへかける労力も無くなる事はない。
しかし一方で、コールセンター内部のマネジメントだけではなく、コールセンターの活用や
企業経営への貢献度向上に、もっと力を入れて取り組む段階にきている。
顧客の動向を機敏につかめるかどうかが、ビジネスチャンスをつかめるかどうかの分かれ目になる。
顧客との接点を担う、コールセンターの重要性は大きく高まっている。
しかし、コールセンターに対する経営者からの評価は、逆に厳しさを増しているように感じる。
こうしたジレンマを解消し、経営への貢献度の高いコールセンターを構築するための考え方や
方法について考えていきたい。

つづく

 

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