コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】3〜ミッションの必要性を理解する。〜 - まるごと|問題発見力|トレーニング|コールセンターを学ぶ
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コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】3〜ミッションの必要性を理解する。〜

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コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】3〜ミッションの必要性を理解する。〜

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コールセンターの立ち上げ【経験者は語る】2~経営への貢献度を高めるために~

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ミッションの必要性を理解する。

普通のインバウンドコールセンターについて、そのミッションは何かと問われたら、どのように答えますか?
「顧客からの問合せに対応すること」と答えたならば、ミッションを考え直す必要があります。
確かに、インバウンドコールセンターの基本的な業務は、問い合わせてきた顧客に対し、その疑問や問題を解決することである
しかし、業務そのものとミッションとは別物である。
ミッションは、業務をどのような目的で提供するのかを突き詰めて考えることによって明らかになる
その際、視野に入れるべきなのが、ぜんかいで紹介した「タッチポイント(顧客接点)」である

コールセンターは顧客接点全体の重要なパーツであるという認識に立って、ミッションを設定するとはどういうことか
例えば日々の対応を通じて蓄積された顧客の声を社内の関係各所に発信し、製品やサービスのレベルアップにつなげる
ことは、顧客の声が集まるコールセンターの重要なミッションとなる。
あるいは、コールセンターでの非対面サービスを充実させることにより、対面で顧客対応を行う場合の業務負担を軽減することも、
顧客接点全体のコスト効率を考えた場合、重要なミッションになる可能性が高い。
つまり、他部署での顧客接点への貢献・支援を目指すのだ。
もちろん、コールセンターの基本的な役割は、顧客に質の高いサービスを提供し、その満足を高めることだ。
しかし、コールセンターの経営貢献度を高めるためには、それだけでは充分とは言えない。
他の顧客接点、あるいは経営に貢献するための「プラスアルファのミッション」を意識して打ち出す必要がある。

ミッションの明確なコールセンターと、曖昧なコールセンターの違いは歴然とする。

ミッションが曖昧なコールセンターでは、定常的な日々の顧客対応そのものが自己目的化してしまう。
これは、かかってくるコールにひたすら対応し処理し続けるという受動的な状況を生み出し、組織の活力を削ぐ結果につながることが多い。
組織活力が弱まったコールセンターのサービスレベルは、当然低下する。顧客満足を損ねるだけでなく、本来不要な問い合わせやクレームが増大し、
スタッフは更に定常的なオペレーションに忙殺されるという悪循環を生み出す危険性もある。
ミッションと聞くと、漠然とした理念のようなものを考えがちだが、これこそコールセンターのあり方を大きく左右するものだ。
例えば、「質の高い問い合わせ対応を実現する」というミッションと「問い合わせそのものを削減する」というミッションを持ったコールセンターを比較してみよう
前者は一本一本のコール似丁寧に対応し、顧客満足度を高めるための施策に取り組むだろう。
一方、後者のセンターも同様の行動を取るが、更に加えて、コールの原因を分析した上で、問い合わせを減らすためにWeb上のFAQを改善したり、充実させるなどの活動も並行して行う可能性が高い。
つまりミッションの設定によって、コールセンターの姿はかなり異なったものになりうるのだ。

では、ミッションの具体的な設定アプローチについて説明する。

本質的な費用対効果を見極める

人件費が中心となるコールセンターは、コストの構造がわかりやすく、経営からみれば目立つコストだと言える。
このため、しばしば安易なコスト削減の対象となり、その結果、顧客サービスの質が低下して、かえって企業にダメージを与えることも少なくない。
特にインバウンドコールセンターは、その価値を具体的に捉えにくいこともあり、見かけ上の総コストや1コール当たりのコストと言ったような、事業に直結しない指標だけを問題視されることが多い。
例えば、通販ビジネスであれば、コールセンター以外に、「物流・配送コスト」「顧客を呼び込む為のダイレクト・マーケティングコスト」「ウェブシステムコスト」などがありうる。
対面・非対面サービスを組み合わせたビジネスでは、当然営業店などでの対面サービスのコストを合わせたものが、トータルの顧客接点コストとなる。
顧客接点全体のコストを把握した上で、コールセンターがコスト低減に貢献しているかどうかを評価する。
例えば、コールセンター自体のコストは減らなくても、そのサービスによって営業店や営業マンの負担が軽減され、結果的に顧客接点全体のコストが軽減された場合は、その貢献度を適正に評価するといった方法である。
また、コスト削減の観点だけでなく、収益拡大効果も加味する必要がある場合は、自社事業のパフォーマンスを測る切り口をもとに評価する方法もある。
例えば、1顧客あたりの売上・コスト・収益、あるいは1オーダーあたりの売上・コスト・収益など、自社事業の競争力を端的に表す指標を明らかにし、その上で、トータルの顧客接点コストを同様の切り口で把握する。
このような見方をすると、顧客接点の総コストは増加していても、そのサービスが顧客拡大に貢献していれば、1顧客あたりのコストは減少しているといった実態が明らかになる。
より踏み込んだコストの妥当性の判断ができるようになるのだ。

コールセンターの費用対効果への誤解を解消するポイントは、自社事業のパフォーマンスを示す指標をベースに、コールセンター単体だけでなく、他の顧客接点への貢献度を加味して、妥当性を判断することである。

必要スキルの広がりを理解する

コールセンターに求められるスキルは、顧客対応能力だけではない。
コールセンターが備えるべき能力として重要なのは、洗練された顧客対応に加えて問題解決能力である。
そして、問題解決能力を高めるには、対象となる製品やサービスのみならず、関連するサービスのルール、マーケティング、システムに関する知識など、それなりに広範囲な知識が求められる。
したがって教育プログラムやスタッフのキャリアパスを、顧客接点横断的な広い視野に立って設計することが必要になる。
例えば、営業マンや物流担当者、品質管理担当者が一定期間コールセンター業務に関わることは、コールセンターの問題解決能力の向上に、大きく貢献するだろう。
期間限定であっても、コールセンター内でスタッフと協働することによる効果的な知識伝達が期待できるからだ。
また、コールセンターを含めた組織的なキャリアパスは、他の部門にもメリットをもたらすはずだ。
例えば営業マンは、短期的に営業実績を上げるだけでなく、顧客満足を継続的に維持することの重要性をコールセンターの現場経験を通じて実感できるだろう。
製品開発や品質管理の担当者が自社製品への顧客の声に直に接することは、間接的に情報を分析するよりもはるかに多くの示唆を与えてくれる。
様々な顧客の声が集まり、企業が抱える問題の縮図とも言える状況が生じるコールセンターは、貴重な経験の宝庫である。
企業内の人材育成や、意識改革に有効活用できる余地は相乗想像以上に大きいはずだ。
コールセンターのマネージャーやスーパーバイザーに対しても、計画的に多様なキャリアを経験させることを検討すべきである。
それがひいてはコールセンターの問題解決能力の向上につながるからだ。
もちろんコールセンターのサービス品質を支える接客スキルは、一長一短で身に付くものではなく、その点ではセンター業務を長く経験することも重要だ。
しかしそれが全てではない。コールセンターに求められるスキルの広がりと、深さを認識しスタッフのキャリアパスをより広い視野から、設計することが必要である
またコールセンターの問題解決能力や、経営貢献度の向上の観点からアウトソーシングの範囲や、アウトソーサーの選択には慎重を記すべきである。
専門のアウトソーサーは電話による顧客接客スキルに代表されるようなコールセンター特有の能力については、もちろん高いレベルのものを持っているが、その企業固有の知識に根ざした問題解決能力の面では限界が生じる場合もある。
洗練された顧客対応能力と、高い問題解決能力を両立させるためには100%アウトソースが自社化かと言うゼロ・サム的な発想は得策では無い。
より柔軟に、自社運営と外部委託の範囲を設定し、両者の相乗効果を追求する共同運営(子・ソーシング)の検討も有効である。

 

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