コールセンターにおけるKPIの使い方と考え方【私見満載】How to use and think about KPIs in call centers - まるごと|問題発見力|トレーニング|コールセンターを学ぶ
twitterをフォローする

コールセンターにおけるKPIの使い方と考え方【私見満載】How to use and think about KPIs in call centers

コールセンター

コールセンターにおけるKPIの使い方と考え方

電話

google

復習

前の投稿 コールセンター運営の指標【KPI】すぐに使える基本を解説
【KPI計算式一覧】
・応答率         【計算方法】対応件数÷着信件数×100
・ASA(平均応答速度)   【計算方法】応答までの時間÷繋がった件数
・SL(サービスレベル)   【計算方法】規定時間内での対応件数÷着信件数
・稼働率         【計算方法】稼働率=(会話時間+後処理時間+その他)÷(総ログイン時間-離席時間)
・AHT(平均処理時間)  【計算方法】AHT=(総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷ 総応答コール数
・ATT(平均通話時間)   【計算方法】AHT=総コール数÷総通話時間
・ACW(平均後処理時間)   【計算方法】ACW=合計後処理時間÷総応答コール数
・CPH(1時間あたり対応件数) 【計算方法】CPH=対応コール数÷稼働時間
・CPC(運営コスト)      【計算方法】総経費(人件費+家賃その他すべての経費)/総対応件数

KPIの詳しい説明はこちら

応答率

受電率とも言いますが入電した電話に何本対応できたかの指標となります。
これは、社内及びクライアント様へアピールする材料となります。
90%を維持出来ているのならば、受話器をあげるという面では、最高のセンターとなります。
ほとんどのセンターでは、80%維持を目標に、日々業務を行なっています。
「なぜ、100%を目指さないの?」
と、思うかもしれませんが、100%の受電率はよっぽど電話が少ないか、
経費度外しのセンターでしかなし得ない数値となります。
なぜか
コールセンターの管理者は、日々人件費との格闘を続けています。
入電予測を立て、人員配置をしても、1人が欠勤すると人員不足になります。
また、常に退職・入社を繰り返しますので、品質の維持にも四苦八苦します。
ベテラン一人と新人一人の能力が大きく違うのはわかると思います。
新人・準新人・1年目・3年目・ベテラン
また、個人の能力にも大きく差があります。
その全てを加味した上で、人員調整を行なっていきます。
もし欠勤がベテランだったら、大きく戦力が削がれてしまい受電率は低下します。
もう少し余裕のある人員配置をすれば良いのにと思うかもしれません。
しかし、会社は利益優先です。利益がなければ給与は出ません。
どこでも同じだとは思いますが、80%の受電率を確保できる人員で、受電率90%を
達成するよう、目標設定がなされています。
上記を踏まえ、100%の受電は通常ありえない。となります。

一昔前は、社内に設置されたPBXから入電数・受電数の数値を出し、計算していました。
現在は、クラウドPBXとなり、リアルタイムに状況が確認できるようになっています。
待ち呼アラートなども発砲され、受電指示も出せるようになり、応答率を意識しやすい環境になっています。

応答率を上昇させるためには、その他のKPI指標を上昇させる必要があります。
企業により、目標とする応答率は違います。
設定目標により、その他のKPIを設定していきましょう。

では、続いてその他のKPIも見てみましょう。

ASA 応答速度の平均

電話の呼び出し音5回で受電
2回で受電
どれだけ差があるでしょうか?
5回で約10秒 2回で約3秒 と7秒の差が出ます。電話10本対応すると、約1分のロスになります。
オペレーター人員数×1分 大したロスじゃないよと思うかもしれませんが、
一日・一週間・一ヶ月に換算すると大きな差になります。
「お客様を待たせるわけにはいかないので、入電から受電は3秒以内」を目標にしましょう。
建前が大切です。

SL 入電から受電までの時間

ASAと待ち呼処理の平均時間となります。
15秒を目標にする企業が多いと思います。
15秒を達成するのはなかなか大変です。
この数値も、その他KPIと連動します。
平均通話時間(ATT)
ここが短ければ、次々電話が取れますね。(詳細は後述)

平均後処理時間(ACW)
ここも短ければ、次々電話が取れますね。(詳細は後述)

対応件数/h(CPH)
上記を改善すれば、数値が上昇します。(詳細は後述)

・稼働率 (実稼働)

稼働率が100%となると、まったく無駄のないセンターである事になります。
応答率でもお話ししましたが、ここでも100%はあり得ない数字です。
例えば、応答率50%くらいなら可能かもしれません。
一日の中でも、入電の集中する時間帯と全くならない時間帯が発生します。
集中する時間帯に休憩を我慢してもらい、鳴らない時間帯に休憩に入るなどしても、
入電待機時間は発生します。
センターによって、AHT(平均処理時間)が違いますので、稼働率・応答率を比較しながら
人員の配置とシフトを決め、PDCAを繰り返していきながら、最適な人員を割り出していく必要があります。

ATT(平均通話時間)

間違い電話 10秒
クレーム入電 60分
通常入電 120秒
など、入電により通話時間は大きく異なりますが、入電割合は95%通常入電 間違い4% クレーム1%でしょうか。
一か月単位でみると、きれいな平均値が出ると思います。
(※月によっては、ロボット音声アンケートや売込み入電の増加で狂います。)
対応者(オペレーター)の熟練度により、大きく差が出ます。平均が2分半の場合、熟練者は、1分だったりします。
初級者だと、5分になったりもします。
流行りの、自動トークスクリプト(Bot型やAI型など、最近増えていますね。)を使用すると、
熟練者が2分半、初心者が3分半になったりします。結果、平均は変わらなかったりします。(ミスは減ります)
正解はなかなか見つかりません。各センターで、オペレーションは全く違う(業種がおなじでも)事が多くあります。
固定観念にとらわれず、試行錯誤を繰り返しながら、最適解を見つけていきましょう。
全てに通ずる事は、
基本となる(問い合わせの多い)内容については、きちんとトークスクリプトを作成する事。
種類が多くなってもかまいません。欲しいときに、すぐに見つけ出せるようにしてください。
トークスクリプトがない(足りない)のに、オペレーターの覚えが悪いと言うのは、最低の管理者です。
気を付けてください(私見です)

ACW(平均後処理時間)

電話が終わった後、システム入力やFAX・メール連絡などの事務処理となります。
ここも、新人と熟練で大きな差が発生します。

システム入力

最新システムでは、音声認識をAIを活用し、会話を文章化しながら、要約文を自動作成するシステムが登場しています。最後に内容確認後、コピペするだけ。楽ですね。
大手でもない限り、そんなシステムは導入してもらえません。ならばどうするか。
会話を行いながら入力するスキルを向上させていく。熱血ですね。
5分程度のラジオ番組を、聞きながら入力していく。一時保留はなし。流しっぱなしです。
入力した内容を清書と照らし合わせ、確認する。最初は、半分も入力できない事がほとんどですが、
一か月もやると、ほぼ出来る様になります。
(※これは、私がやってみて成果のあったやり方ですので、批判等はご遠慮ください)
録音は、10本ほど準備しました。
また、よく使う言葉を、PCの辞書へ登録してください。一発変換できるようになります。
単語登録(参考:Microsoft)
訓練と下準備を整える事で、飛躍的に時間の短縮につながります。

その他事務処理

メールなどは、定型文を保存し、必要なところだけをコピペ出来る様に準備
メールテンプレ(参考:Microsoft)
FAXなどは、PCから送信できるように設定する。などの下準備をしっかりと行う。
また、それぞれの作業へスムーズに動けるような流れを作り、、マニュアルとして落とし込む事。
無駄を極力排除しながら、マニュアルの改善を図っていく。
※お金をかけてシステム構築できるならばそれが一番です。

AHT(平均処理時間)

ATT + ACW = AHT
上記2項目を改善していくと、必然と改善します。
以上

CPH(1時間あたり対応件数)

一時間当たりの対応件数平均となります。
業種・対応方法などによって大きく差が出ます。
経験則から行くと、
問合せ電話対応であれば、8~10
メール・チャット 12~15
製品カスタマー 2~4
でしょうか。あくまで経験則からの数値ですので、公証値ではありません。
この数値が1上昇するだけで、センター内の人件費が大きく変わります。
稼働率とAHTの数値を加味したうえで、シフトを絞りながらスキルアップを目指して行く事が最適です。
スキルアップ後に、通常シフトへ戻しながら、緊急時に対応できるスキルを持ったセンターを作っていきましょう。
なぜ戻すか・・・ずっとめいっぱい働くと疲れてしまいます。
ここぞという時に(入電集中時)対応できるスキルを身に着けて行く事と、常にめいっぱい働く事は、同義ではありません。(私見)

CPC(運営コスト)

管理者にとって一番の頭痛の種です。
皆さんのセンターでは、電話1本あたりの経費はいくらでしょうか?
すぐに返答できる方は、言うことなしですね。
返答できなかった方は、計算してみましょう。
電話対応を外注で受けるとき・外注するときに適正な価格を導き出す数値です。
経費が分からないのに、契約金額が決められますか?
いい加減な金額ならば、センターが疲弊するか、提携先が大損するかです。
常日頃から、しっかりと計算しておきましょう

最後に

経営陣にとって、コールセンターの人件費は、一番削減が容易です。
皆さんも経験ありませんか?「コストがかかりすぎ」「こんなに人数いらないでしょう」
こんな言葉を鵜呑みにして、人件費を削減したもんならば、経営危機が訪れます。
そんなわけないでしょうと、思うでしょう・・・
実際、遥か昔に電話を受託している案件がありました。月間15000本の入電です。
コールセンターで働く方であれば、売上がどれほどかはある程度見当がつくでしょう。
ある時、電話の閑散時間帯に経営陣の一人が、コールセンターを訪れ、状況を確認して帰りました。
次の役員会議で、人件費30%削減が決議され、執行されました。
応答率85%だったところから、一気に60%台まで落ち込み、立て直しを図るも、契約解除となりました。
ここで大切なのは、「何も知らない役員が勝手に人件費削減した」事ではありません。
30%削減を何も言わず受け入れた管理者に責任があります。
なぜか?
経営陣が経費削減を叫ぶのは当然です。会社の利益を最大化するためですから。
コールセンター管理者が、
KPIを活用し、
必要なデータをまとめ、
有無を言わせぬ計画書を

経営陣に提案する必要がありました。
このKPIは業務改善以外にも、会社内でも提携先へも数値として提案して行く事も出来るものです。

まとめ

私見と入れれば何でも許されるくらいの感覚で書いてきました。
コールセンターでの各数値は、無駄なものが一切ありません。
管理者となったならば、自分の部下達の成長を促しながら、
上司へと牽制をを行い、センターの経費を確保するため、
常に数字との戦いになります。

皆様の検討を祈ります。
(あくまで私見です)

 

メール相談はお気軽にどうぞ

コメント

  1. yossu より:

    はじめまして。
    某コールセンター勤務です。
    分かりやすくてタメになりました。
    人件費を削減しながら応答率をあげろと言われています。
    何か、ヒントが見つかればと訪問させて頂きました。

    • onimaruonimaru より:

      拙いサイトへのご訪問ありがとうございます。
      人件費削減と応答率については、コールセンターで働く人であればほとんどの人が経験したことのある問題かと思います。
      簡単なところから、時間帯・曜日・日にち毎の、人員配置が最適化されているか検証してみてください。
      最低でも過去3か月の入電状況を分析する必要がありますね。
      コロナが蔓延してから、過去の入電状況と動向が変わっていますので、慎重な検証が必要です。
      よくわからなければ、メール頂けますと詳しくご返信します。

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました